と経済産業省が主催する「フォーラム」が2024年9月に開催され、2025年度税制改正により詳細が決定される「リファンド型」制度への移行について、店や小売事業者、事業者などの関係者へ向けた説明が行われました。   本記事では、フォーラムの内容をもとに、現行制度の問題点や改正後の制度内容について紹介。特に旅行者と小売事業者、双方の視点から具体的な変更点(案)をまとめていきます。   インバウンド対策サービスを探している方必見!無料で資料DLできる「訪日コム」を見てみる   品とは、特定の条件下で購入時に消費税が免除される商品のことです。日本では、外国人旅行者が一時的に滞在する期間に、指定の店舗で一定金額以上の商品を購入した際に、消費税を支払わずに購入できる商品を指します。   一般物品(衣類、電化製品など)と消耗品(やなど)に大きく分けられ、どちらも「通常生活の用に供する物品」と定められています。また、外国人旅行者が品を購入し、日本国外に持ち出すことを、購入者自身が確実に行わなければなりません。   消費税は、国内で消費される取引に課されるものであり、外国人旅行者が国外に持ち出すものについては、一定の要件の下で、消費税を免除することとしています。   近年、外国人旅行者の消費を促進し、日本国内の観光業や経済の活性化を図るために制度の使い勝手を良くするための見直しが進められてきました。   そのため、品としての購入が認められない場合(事業用などと判断された場合)は、外国人であっても消費税を支払わなければいけない可能性もあります。   まずは現行の制度についてまとめていきます。   外国人旅行者が店で買い物をした後、店から国税庁の販売管理システムに購入記録情報が提供されます。   品を購入した外国人旅行者は出国時に空港などの税関カウンターでを提示。税関で管理システム上のデータと照合され、必要に応じて(リスクが高いと判断された場合に)、実際に購入品を持っているかどうかの持出し確認が行われます。   持出し確認の結果、外国人旅行者が品を持っていればそのまま出国。持っていなければ消費税の即時徴収が行われます。   現行の制度フロー   免税店は旅券の確認後、免税で販売   免税店は購入記録情報を免税販売管理システム(国税庁)に提供   旅行者は出国時に税関で旅券を提示   税関で必要に応じて持ち出し確認実施   免税品が確認できない場合は消費税を即時徴収   しかし、現行制度では持出し確認ができなかった旅行者に対する消費税の徴収がほぼできていないという問題があります。出国時に税関での旅券提示を行わないなどしてを逃れる旅行者も多く、結果、多くの品購入者の消費税不払いが起きているのが実態です。   金額の大小にかかわらず、そうした不正は横行していますが、特に高額購入者における不正が問題視されています。   例えば、令和4年度(2022年度)の1入国あたりの購入金額が1億円以上の旅行者は374人で、購入金額は合計で1,704億円(一人当たり約4.5億円)でした。そのうち、税関で持出し確認を行うことができた人は57人(全体の15.2%)で、実際に持出し確認ができた(適正に国外へ品を持ち出している事実が確認された)のは、たったの1人でした。   また、消費税の即時徴収となった56人のうち、実際にその場で消費税の徴収ができたのは1人のみです。残りの55人は、納税資金を持ち合わせておらず、出国間際で時間もないなどの理由から、消費税を支払わないまま海外へ出国・帰国しています。   政府は不正防止に向けて空港会社との連携なども進めていますが、現状の制度そのものを変える必要があると判断。令和6年度(2024年度)の税制改正において制度の見直しを決定し、現在、制度の詳細を検討しています。   新制度における最大の変更点は、これまで(消費税分なし)で販売していた商品をまずは課税(消費税分あり)で販売する点です。   旅行者が購入時や出国時に旅券の提示を行う点は現行と同じですが、今までと違って旅行者は税関で手続きをしないと消費税相当額の返還を受けることができません。   税関確認後のフローとしては税関での持出し確認の結果が販売管理システムに送信され、その情報を店で取得・保存し、不正等の問題がなければ、店もしくは指定の委託業者が消費税相当額を返金する流れになります。   ・現行の制度フロー   免税店は旅券の確認後、免税で販売   免税店は購入記録情報を免税販売管理システム(国税庁)に提供   旅行者は出国時に税関で旅券を提示   税関で必要に応じて持ち出し確認実施   免税品が確認できない場合は消費税を即時徴収   ・見直し後のフロー(案)   免税店は旅券の確認後、課税で販売   免税店は購入記録情報を免税販売管理システム(国税庁)に提供   旅行者は出国時に税関で旅券を提示   税関で必要に応じて持出し確認実施   確認結果を免税販売管理システムに登録   免税店もしくは指定事業者が確認結果を取得・保存   - A:不正なし:免税販売に振り替えて消費税相当額を免税店から返金   - B:不正あり:そのまま課税販売(消費税相当額の返金なし)   ※4で持出し確認が不要と判断された通常の旅行者も6-Aへ   これまでは税関の検査場は、空港の保安検査を抜けた制限エリア内に設けていました。しかし、新制度案では、諸外国と同様に、一般エリア内にキオスク端末を設置して、そこで旅券の確認を行う予定です。問題がなければ手続き終了。何かリスクがあると判断された場合は、を受けます。   もし持出し確認ができなかった場合、現行では消費税の徴収が行われましたが、新制度案では店から返金がされなくなるシステムに変わります。   返金の手続きは、や電子マネーなどを主に想定しており、店が自ら行うか、指定の代行業者を経由する仕組みを予定しています。現金での返金を希望する旅行者に対しては別途、その方法を検討中ですが、基本的には旅券を提示するだけで完了する予定です。   販売時に大きく変わる点として、これまでで販売していたものが課税での販売になります。その後、国税庁の販売管理システムから、税関での検査結果を受領し、が成立すれば消費税の返金を行う必要が出てきます。   この旅行者への返金については、店が自ら手続きを行うことも可能ですが、「フォーラム」で返金をサポートするを運営する承認送信事業者からさまざまなプレゼンがあり、現在具体的な議論が進められています。   新しい制度の詳細は令和7年度(2025年度)の税制改正において決まる予定です。2024年12月に制度の大筋が決定し、翌2025年1月頃に新しい管理システムの仕様書(ドラフト版)が公開される予定です。その後、2025年に必要な法令改正を行い、2025年11月頃に仕様書(確定版)を公表。   その後、事業者を含めた関係各者の接続テストを行って、2025年度以降の施行を予定しています。   法令改正に向けては、税務処理の方法など、さまざまな変更が発生する予定です。改正後の具体的な内容・方法については現在議論中ですが、今回のフォーラムでは現段階での大まかな方向性が示されました。   消費税の返金は店が行いますが、承認送信事業者がさまざまな返金を提供する予定であり、そうした返金が望ましいのではないかと考えられます。   現金での返金については、例えば諸外国では空港に専用窓口を設置したり、両替商に委託したりしているもあります。日本での運用については引き続き議論が必要です。   販売の際のインボイスの処理   事業者が適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の場合、仕入れにかかった消費税額を控除するためには、商品やの購入(仕入れ)時にインボイス(適格請求書)を受け取る必要があります。品販売の場合、基本的には外国人旅行者へのインボイスの発行は不要です。   また、外国人に対しては、インボイスの記載項目を満たしたレシート(簡易インボイス)が発行されることもあります。品の売上は、税関確認後に課税からに売上の振り替えを行いますが、簡易インボイスを発行された外国人に対しては修正インボイス*の発行は行わなくても問題ありません。   *修正インボイス:すでに発行されたインボイスに誤りや変更があった場合に、その内容を訂正・修正するために発行されるインボイス   販売と税関確認の間で期を跨いだ場合の処理   制度改正後のフローでは、店では、販売時は課税売上として計上し、販売管理システムで税関確認情報を確認・保存した時点で売上に振り替えて申告します。   もし、商品を販売した事業年度(A期)と税関確認が行われた年度(B期)が異なる場合は、当初の申告(A期)を修正するのではなく、確認が行われたB期での調整が可能です。具体的には、前期(A期)の課税売上をB期にマイナス処理して、改めてB期に売上を計上することになります。   課税販売を販売に振り替える作業は、取引ごとに行うこともできますが、月次での一括振り替え作業を行うことも可能です。   税関確認後に旅行者の手続き不備等により返金がされなかった場合の処理   確認が正常に完了し、販売の要件を満たしている場合であっても、例えばクレジット情報の記載に不備があったり、有効期限が切れていたりなど、旅行者の都合で返金できない場合も想定されます。その場合は、当事者間(店と旅行者)の契約により返金不要となり、課税分は雑益(不課税)として処理が可能です。   販売要件の見直し   現行の販売要件は、一般物品と消耗品に大きく分けられ、どちらも購入金額が5,000円以上が対象です。消耗品は50万円の対象限度額(上限額)が設定されていて、特殊包装も要件のひとつです。(下限額を下回るため)一般物品と消耗品を合算する場合は一般物品にも特殊包装は必要です。   制度の改正にともない、税関確認後に販売が確定することを踏まえ、一般物品と消耗品の区分や対象限度額、事業用・販売目的でないかどうかの判定をどうするかなど、議論が進められていく予定です。   制度改正の方向性について説明があったのち、フォーラムに参加した事業者などから多くの質問があがりました。特に多かったのが、事業者の作業負担に関するもの。制度改正後は新たに事業者が税関での確認結果を照会し、返金手続きを行う必要が出てきます。   販売店の中にはに悩む小規模事業者や、すでに増加する外国人旅行者の対応に苦慮する事業者も多いのが現状です。   既に返金に対してさまざまなが提供されることが見込まれており、こうした旅行者への返金手続きを自動化するや代行システムの導入なども視野に入れながら、より良い制度設計と運用方法が求められています。   にお困りですか? 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